ウイグル・カザフ⑩国際バス2
夜中バス揺られながらベッドにごろんと横になり、ぐだくだ。
情報では道が悪くてガタガタするって聞いていたけど、揺れるとは感じない。とゆーか、ずーっと高速道路みたいなとこを走ってるし。
車内はしばらく前から消灯。
大声で話す人も誰もいないし、誰か話をしている人がいたとしても、ヒソヒソ声。
乗客にいわゆる「中国人」っぽい人はいないらしい。
トイレ休憩は1時間ごと。初めは停車するごとに我先に行っていたけど、こんなに停まるならいいや、やめよう。
しかし、ついに。
小学生以来の青空トイレ体験がやってきた。
バス停車、外出る、そこは超雪深~い公園のような広場。Aちゃんとトイレを探せど見当たらない。
キツネ子「とうとう来たね、この時が。」
Aちゃん「やるかー!」
この時のために膝下まである巻きスカートを着用住済み。バスから離れた広場のまん中辺りに歩いていって、キツネ子は気持ちベンチの影に隠れてシャッと終了。
足の間の真っ白な雪が一瞬にして溶けていく。
いや~初めての体験。
これ、
案外気持ちいいぞ。
後程女性二人組もやってきて、キョロキョロしてたので、指差してその辺でいけるよ、みたいなことを伝えたらその二人もキャッキャ言いながらやってました。
戻るとバスの前で若い男性人が数人集まって談笑してて、キツネ子たちに話しかけてきた。
「Where are you from?」
喋れるんかい!
と思ったのもつかの間、それ以外はほぼ喋れないカザフスタン人とロシア人。
日本、と答えるとみんな一斉に
「ホンダ、スズキ、トヨタ・・・、」
日本車メーカーを連発しだした。
君の車は?と聞かれたのでNISSANのTIDAと答えると、知らねぇな。と。
そうかい・・・。
再びバスに乗り込む。
車内は暑い。ダウンはけっこう前に脱いで、ダウンベストも途中で脱いだ。UNIQLOの薄手のフリースに、毛布も首まで被ると汗をかくので腰まで下げて、巻きスカートの下のレギンスも脱ぐ。
いつのまにか眠っていて、ふと目が覚めるとバスが停まっていることに気付いた。バスの中は、ときたま誰かの寝息がスースー聞こえるくらいでとっても静か。大イビキのおっさんとかがいないでよかったー。絶対ハズレの日もあるだろうし。
カーテンを少し開けると、外はまっくら。かろうじて雪景色かなあ、ってのがわかった。午前4時くらい。しばらく起きていたけどバスは動かないのでまた眠りに入った。
しばらく寝たり起きたりを繰り返していると、ふと車内の明かりがついた。
乗客が起き出して、みんな手荷物をまとめだす。
なんだなんだ?
通路の向こう側でAちゃんも目覚めて、トイレ休憩かな?など話をしていると、みんな鞄を持って車外へ出ていく。
どうやら、ここが国境らしい。
事前のリサーチでは、バスの中で誰かに手数料(50元くらい)を払えばスーツケースとかスルーでアルマティまで行けるので、値段交渉することって書いてあったけど、誰も交渉しにこない。
えー、めんどくさい…。あの大きなスーツケース持っていかないといけないの?
こっちはハンドキャリーの特大ペットボトルも2本あるのにー。
しょうがなく皆さんに続き、手荷物をまとめて車外へ出た。
やっと太陽が登り始めるくらいの白っぽいグレーの空。足元には雪。
バスは、雪深い森の出口のような場所に停車していた。
えーと。
税関はどこだ?
乗客は自分のスーツケースを受け取り、ゴロゴロ引っ張りながらゾロゾロと大きな道路へ歩いていく。
えっとー?
ここからどうすればいいんだ?
バスの運転手のおじさんに、どこへ行けばいいの?と英語で聞くと、
おじさん
「パスポート!
タクシー!」
さらに、手のひらにスタンプをポンッと押すジェスチャー。
キツネ子・Aちゃん「………?」
えーと。
どういうことだ?
Aちゃんと狼狽してると、運転手のおじさんの1人が、ついてこい、という手振りで歩きだしたのでついていった。
バスから200メートルほど先に小さな古い飲食店があって、ここに入れ、のようなしぐさ。
店の前にスーツケースが並べて置いてあったり、鍋でなんか煮込んでるおばさんがいたり。調理場、外なんだ・・・。
嫌な予感。
こわごわ店内に入ると、超ローカル顔な人たちが朝食を食べている様子。みんな浅黒い顔にダウンなどを着込んで、田舎の雪国の人ってかんじ。
後ろを振り返るとすでに運転手さんはいなかった。
Aちゃん「えー…。どうする…。」
キツネ子「絶対お腹壊すやつやろ、これ。」
入り口付近の壁側にバイキングのようにおかずが10種類ほど並んでいる。
野菜炒め、肉炒め、饅頭系、麺類など数種類。
食べれるとしたら…饅頭かしら…。((((;゜Д゜))
彩り・・・。
全部悪い・・・。
店内をよく見ると、同じバスに乗っていた人もテーブルで食べている。とりあえずキツネ子たちも空いてる席に座った。相席で4人かけのテーブル。前に座っている人が饅頭食べてたので、横を通った店のおばさんに同じものを2つと言って、さらにバイキングの野菜炒めを一種類購入。値段は忘れたけど、めっちゃ安かった。
前に座っている人に、税関?と聞いてパスポートを見せたけど、首を振られた。この人は行かないのかなあ。こんな早朝から朝御飯を食べて、今から仕事に行くのかなあ。店内にいる人の風貌は労働者に見えるような気もする。漢民族の顔は一人もいない。
同じバスの人が店を出たので、キツネ子たちも後に続いてバタバタと店を出た。
その人は、店の前で数人と話をしている。
キツネ子たちもこっそり後ろについて、同じグループになんとなくまざってみた。
しばらくするとグループの何人かが離れて、道路に歩いていってタクシーに乗り込んだ。
やばい…やばいぞ。取り残される。
まだ残っている前にいたおじさんに、
「これからどうしたらいいの?」
と英語で聞くと、一瞬困惑した顔をした後、すぐに
「ついて来なさい。」
という手振りでキツネ子たちと一緒にタクシー
に乗り込んでくれた。