ウイグル・カザフ⑪出入国
親切なおじさんの風貌は、デカイ西郷隆盛を想像してみてください。
キツネ子たちを乗せたタクシーは5分ほど行くと停まって、おじさんはジェスチャーで料金はいいからと言ってくれた。
降りるとそこにはまっすぐな大きな道があり、その先に税関と思われる建物が。
3人、大荷物で税関に向かう。
おじさんはスーツケースの他に段ボール箱をいくつか運んでいる。
結構、距離あります。
税関に着くと、おじさんにならって荷物のエックス線、イミグレへ。
税関は広いスペースに簡素な机がいくつかあるだけで、超シンプル。
早朝だったせいか、めちゃめちゃ空いてる。
入国審査官のおばさんはキツネ子を見て、
「Beautiful lady.」
とだけ言って微笑み、ポンっとスタンプを押してくれた。
スッピンで顔も洗ってなかったけど、ありがとう。
中国で暮らせばモテるかも…。
税関到着後、手続き上で中国を出国するのにここまでで10分くらい。
ちなみにスーツケースはずっと自分でゴロゴロ持っていかないといけません。
中国税関の建物から外に出て、敷地内の駐車場で待ってるバスへ。
スーツケースはまたバスのお腹部分に収納。
自分のベッドへ戻って全員が戻るまでしばし待機。
キツネ子たちを導いてくれたおじさんは2つ後ろのベッドだった。
先ほどのお礼を言ってお菓子を渡すと、漢字とアルファベットの筆談で少し話ができた。
おじさんの名前はアセット。
仕事で中国に行っていたとのこと。
30分くらい待った後バスが発車。
中国税関出口には天下一武道会とかに出てきそうな赤い展望台みたいなのがあって、上から軍人2人が銃を構えている。
バスが中国を抜けた。
なんだかホッ。
中国で危ない目に合わなくてよかった~って安堵感。
(さらに情報ない国へ行くんだけどなぁ。)
キツネ子は現地中国人にびびってたので…。
国と国の間の道を、しばし行く。
砂利の駐車場でバスが停まった。
みんなバスから降りてスーツケースをバスから降ろす。
やっぱここでも自分で持っていかないといけないのか…(´;ω;`)重いよー。
と、ここで噂通り数人両替商がいたのでドルを両替した。
後で確認するとやっぱりレートは悪くなかった。
偽札だったらどうしよう…と思ったけど、カザフスタンのお金全くないし。
MR.アセットに続いて少し歩き、税関のゲートを抜け、とうとうカザフスタン側へ。
まるで小学校の門のような簡単なゲート。
守衛さんの顔と服装が一気にヨーロッパ(というか、ロシア?)風になる。
税関の建物も、中国側の四角いビルから、少しロシアっぽい建物へ。(古いけど。)
ここでも荷物のエックス線、イミグレを特に問題なく済ませて、30分もかからない内に手続き完了。
事前のネット情報ではこの国から国への手続きに4-5時間かかるって書いてあったけど、キツネ子たちの場合はめっちゃスムーズやん♪
この調子なら早めにアルマトイにつけそーだ♪
と思っていると、甘かった。
ここからが長いのよ。
入国手続きを終えて、
税関内にあるバスターミナルにて
結果だらだらとバスを待つこと2時間
ってゆーオチがありました。
なんでこんなにバスが来ないんだろう…と謎だったけど、いつもこーだから国境越えはトータル4時間ほどなんだなーって納得。
なんせ、ちょー暇。何にもないし。
館内にはベンチがないから微妙だし、外にあるベンチで時間潰し。
めちゃ厚着してるしそれほど寒くはなかった。天気はいいし。
テンションは下がってくるけど。
ただっ広いバス停に、入国手続きを済ませた人がだんだんと増えてきた。
Aちゃん「トイレ行ってくるー」
数分後。
「とうとうドア開けられたわ。最中に。」
「え。鍵してなかったん?」
「うん。まあいいわ。Aも人のん開けたしな。」
ここにきて鍛えられてきたAちゃん。
向こうの方にいたアセットがこっちに近づいてきた。
筆談とジェスチャーで、会話。
キツネ子は一応中国語を勉強したことがあったので、ほんのちょーっとだけ分かるのだ。
「ここから私はローカルバスでアルマトイに行く。」
「そうなの?」
「アルマトイに来るんだったら、今晩は私の家に泊まりに来なさい。」
そう言ってアセットは携帯の写真を見せてくれた。
写真には奥さんと小さな女の子二人が写っていた。
そして、紙に「妻 娘 安全」と書いた。
おお…。
見ず知らずの旅人を?
泊めてくれる?
親切すぎるだろー!
さっき出会ったばかりなのにっ!
泊まるところを予約してるからって伝えると、
うんうん、と彼は頷いた。
泊まらないけど、明日、家に遊びに行ってもいいかと聞くとokだったので行かせてもらうことにした。
地図を見せると、宿泊先からそんなに遠くはない。
バスでの行き方を教えてもらった。
しばらくすると、先にローカルバスが来た。
待っている人は乗りきれなくて次のバスを待つ。
ウルムチで個人バンに乗っていたら我々もこの列に並ばないといけなかったんだろーなー。
ちゃんと国際バスを予約してよかった。